「結果が全てじゃない、過程にも意味がある」
こうした趣旨の言葉を聞くことは多いだろう。
ただ、スポーツの世界はどうだろうか。プロの世界は、どんなに練習して応援される選手でも、結果が出せなかったら出場機会が減り、淘汰されていく。そうして競技のレベルを高い水準に保ってきたのが現実。こうした言葉は結果が出せなかった選手への慰めでしかないと思う。
自分の話をしよう。
今までの人生で、全力で何かに打ち込んできたと言える経験はなかった。小学校受験、小学校のサッカー、中学受験、中高の部活動、大学受験など、色々経験させてもらったけれど、どれも中途半端に取り組んで中途半端な結果を残してきた。外側の体裁を整えていけば中身がどんなに粗末でも周りが褒めてくれるような結果が出せてしまった。
でも、今は違う。
ラクロスには全力で取り組んだと胸を張って言える。
でも、取り組んだだけでは意味がない。結果が必要なのがスポーツの世界。
「ラクロスやっててもそれで将来稼げる訳じゃないんだから…」みたいなことを言われたことがある人は多いだろう。僕は何度も言われたし、その度にイライラしていた。周りからは目に見えて分かる結果がないと、部活は所詮遊びでしかない。
「自分が取り組んできたことは遊びなんかじゃない。そんな覚悟、水準でやってない」
こう言いたい気持ちは山々だったが、結果が出せてない自分に言う資格はない。だからイライラしてた。
だからこそ4年間を通じて結果にこだわり、結果が出せるならと無茶なこともしてきた。
でも、まだまだ足りなかった。
チームの戦力として何も貢献できなかった。
毎シーズン終わる度に悔しくて泣いた。
今年に入って結果を出したいと思う気持ちはより一層強くなった。
今までお世話になった先輩方や、応援してくれる人たちのためにも結果を出したい。
Aで試合に出て30期の力になりたい。
何よりも30期で勝ちたい。
その一心で、自分の武器になりそうなことを磨いてきたつもりだ。
上手くいったときに周りが「上手っ」て言ってくれるのが嬉しかった。
この調子でいけば今年は自分が納得する結果が出せるかもしれない。
そう思ってギアをあげていた矢先だった。
腕を怪我した。
今までの怪我とは違って、我慢すれば何とかなるものでもない。
怪我してしばらくは気持ちがぐちゃぐちゃだった。
普通にみんなに怪我のこととか説明してたけど、正直強がってた。
怪我したことを認めたくなかった。
今の自分は結果を出すスタートラインにすら立ててない。
今はただチームの勝ちを外から願うことしかできない。
今までは自分が出てない試合は見るのが嫌だったし、勝てた試合だとしても悔しくて複雑な思いになることが多かった。
でも、今はただみんなの勝ちを願ってる。
僕も早くリハビリして一日でも早くチームの戦力になれるよう頑張るので、みんなも頑張って。サポートできることがあったら何でもやるので言ってほしい。
もちろん自分がこうして全力で部活に取り組んでこれたのは周りのサポートがあったからだ。
まず、グリーンハイツの寮母さんや夕食を作ってくれた方々には本当にかわいがっていただきました。いっぱい食べて頑張ってと、こっそり他の寮生よりもご飯の量を多くしてもらったり、練習後にアイスや補食をいただいたりしました。いつか試合を見てみたいと仰ってくださって嬉しかったです。グリーンハイツのサポートがなかったら、まともに生活できてなかったと思います。本当にお世話になりました。
最後に家族へ。
面と向かって自分の気持ち伝えるのは苦手だから、読んでくれるかわかんないけれど、この場を借りて伝えます。
京都へ来ることを許してくれてありがとう。あの時はどうして京大へ行くことを認めてくれないのか、なんで独学で受かった自分を否定してくるのか、そんな気持ちばっかりで親の気持ちを考えられてませんでした。高校の時も、急にラクロス部入るって言ったのに、小中高と12年間お弁当を作り続けてくれてありがとう。あの時ラクロス部に入ってなかったら、最高の仲間と全力でラクロスする経験はできなかったと思います。
こんな癖の強い息子だけど、ずっと支えてくれたこと感謝してます。ありがとう。最後までやりきります。
素直に貪欲に粘り強く、絶対に勝つ。
2022/08/21 #1 石川航大