理由。
物事には理由がある。
自分がここにいる理由とは何だろうか。
学生日本一という大きな目標を掲げる団体に所属し、毎日グラウンドで練習する理由。
emotionを読む度に、理念mtgを迎える度に、考えることだった。
毎回自分で明確な答えを出すことができず、誰かの話を見たり聞いたりして自分もそうだと思い込んでいた。理念mtgではなんとなくそれっぽい言葉を並べていた。
4年前。
ラクロスというスポーツを見つけた。
自分の得意なことを活かし活躍できそうに思えた。強いチームに身を置いて、自分がどこまで通用するのか興味があった。それでなんとなく入部した。
このなんとなく、を3年も引っ張ってしまった。
思い返せば、1回生の頃、関西ファイナルで敗れた先輩たちをスタンドから見ていた時も。2回生の頃、最後の試合で活躍する先輩や同期を見ていた時も。どこか他人事のように感じている自分がいた。
そして3回生になり、Aにも入れてもらえるようになると、自分の力不足が浮き彫りになった。
練習でも試合でもチームの足を引っ張り、何もかも上手くいかなくなった。月曜に流れてくるAB分けが憂鬱になり、練習に向かう足取りも重たくなっていった。先輩や同期の顔を見たくなかった。
Bに落ちた時には、こんな自分をAに入れてくれていたラッセンさんに申し訳なくて、面談で情けないほどに泣いてしまった。
試合に向かう電車の中では、ミスをしてチームが負ける原因にならないように、としか考えないようになっていた。
自分がチームを勝たせるという覚悟など、微塵も持っていなかった。
2021年11月3日。
最後の試合でも、何もできないまま時間だけが過ぎていった。29期さんを引退させた。
今までありがとう。よく頑張った。温かい声をかけてくれる人がたくさんいた。
自分はそんな言葉をもらうに値したのか。
このチームを代表してフィールドに立っているのに。勝利を信じて送り出してくれている人がたくさんいるのに。消極的なことしか考えられずにフィールドに立つ弱い自分が、チームに何も貢献できない自分が、すごく嫌いになった。
なんとなく、部活を続けてきたことが原因であることは分かりきっていた。
だから。これまでの自分が背負えなかったものを背負う。その気持ちを自分のできるプレーで表現する。KULを勝たせる強い選手になる。そう冬に決めた。
ラストイヤーを迎える時にようやく、遅すぎるけど、自分がここにいる理由を作った。
引退していった先輩、共に過ごしてきた同期、後輩。このチームはたくさんの人で成り立っている。
フィールドに立つ選手は、KULを担う多くの人たち全員を代表してそこにいることを忘れてはいけない。大袈裟かもしれないけど、その全ての想いを背負って、プレーしなければならない。
でも、そうやって気持ちを前に向けられるようになってからは、仲間の活躍や後輩の成長、そして自分の成長が、とても嬉しかった。
怪我で長いこと抜けて迷惑をかけていたときも、みんな見捨てないで待っていてくれた。
だから腐ることなんてなくて、むしろ怪我のおかげで成長できたとすら思う。
早く復帰できるように、そして復帰してからはずっと、再発しないようにサポートしてもらっている。
多くの支えの上で、自分は今、試合で走ることができている。
だから絶対にその期待に応えたい。
このチームを勝ちに導きたい。
ますますそう思うようになった。
そして始まった最後のリーグ戦。
楽しい。
たくさんミスするし、まだまだ下手で足を引っ張ることも多いけど、心の底からそう感じた。
これまで選手として、ユースにも選ばれなかった。代表選考にも落ちた。
自分は上手い選手ではない。自分より上手い選手なんてたくさんいる。
でもだからこそ僕は、自分にできることで絶対に負けない。そしてこのチームを勝たせるような強い選手になりたい。そんなことを考えて毎日練習してきた。
もう残すところあと3ヶ月。もっと上手くなりたい。上手くなって活躍して、みんなで全部勝ちたい。
ここまで危ない展開の試合が続いたし、ビデオを見返していると不安も伝わってくるけど。
結果論でも精神論でもなく、確信している。僕たちはもう勝つことのできるチーム。
だから最後まで自信を持って、全員で勝ちを信じよう。全員で戦おう。
KUL全員の力で、学生日本一まで突っ走ろう。
そして最後にいつもお世話になっている家族へ。
たくさん迷惑をかけていることへの感謝は、プレーで表現します。
是非全試合、観に来てください。
明日の相手は関学。
本当に上手いし、春にも負けてもう長いこと勝ってないし、あの早稲田にも勝ったチーム。
でも、下馬評なんて関係ない。
明日勝った方が強い。
だから、絶対に勝とう。
KUL全員の想いのために。
悔し涙を流し引退していった先輩たちのために。
A.B.Frみんなが積み上げてきたものを全て、ぶつけよう。
KUL全員で、勝とう。
Go for our pride.
2022.09.03 #44 村尾慎太郎