これしかない。
初めてフェイスオフというものに触れたとき、そう思った。自分が今後ラクロス部で生き残る道はこれしかない、と。
思えばなぜ自分がラクロス部に入部したのか自分でも分からない。ラクロスの競技性に強く惹かれたわけでもない。学生日本一という目標に憧れたわけでもない。まして、体格も体力もない自分には不向きとさえ思った。
案の定心配事はその通りとなり、楽しみややりがいを見出せず、すぐに部活を辞めたくなった。周りが辞めていく中で自分も目立たないように辞めよう、何か理由を見つけて辞めようと。
ただ自分には辞める勇気すらなかった。それからは何となく朝起きて部活に行って目立たずその日の練習をこなすだけの毎日だった。
そんな時に自分に希望となってくれたのがフェイスオフだった。希望と言えば聞こえは良いが、当時の自分からしたら都合の良い逃げ道を見つけただけだったと思う。しかし、心のどこかで理解した。自分にはこの道しかないと。
その希望となったフェイスオフでも負け続けた。練習で毎日先輩にボコボコやられ続けて、自分の弱さを突き付けられて毎日本当に悔しかった。
しかしフェイスオフが嫌になることはなかった。また明日やりたいと思ったし、明日こそは先輩に勝とうと思った。そう思えたとき、自分はKULでの居場所と目的を見つけた気がした。このKULに自分のフェイスオフで貢献したい。
ラクロスという競技から切り離されてただクロスを倒すだけ。専任でフェイスオフをするのは甘えだと言われても仕方ないし、自分でもそう思う。だが、フェイスオフは自分に与えられた唯一の場所。自分しかできないことができる唯一の場所だ。
試合開始の笛。フィールドの一点に全員の注目が集まる瞬間。この景色と緊張感は自分だけが知っている。一番ボールに近い場所で、誰よりもはやく、最後までボールを追い続ける。
最後に、
自分の成長の糧になって下さったFO関係者の方々、練習中雰囲気を悪くしたこともありましたが根気強く練習に付き合って下さりありがとうございました、感謝してもしきれません。