「チームにとって価値ある存在になりたい」
これはFrの頃から現在までほぼ一貫して抱いてきた思いだ。
元来自分は勝負事にもチームスポーツにも向いていないのだろう。 負けず嫌いという訳でもなく、現状を容易に受け入れ、心を動かすことも少ない。KULの皆が追い求める「学生日本一」という目標もなかなか自分事として捉えられず、高みを目指して走る仲間の力になりたいという中途半端な思いでここまでやってきた。他の部員とは見えているものが違うという疎外感を常に抱いてきた。
それでも自分はKULという組織が好きで、尊敬すべき同期たちが好きで、その中にいたいと思う。このチームにおいてそれが許されるのは自分の存在がチームにとってプラスに働く場合に限られる。
だから私はチームにとって価値ある存在になりたい。 この思いは無論のこと、KULでずっと戦力になれていない実情に由来する。
Fr時代は練習に行くのがしんどかった。毎日1限抜けにも関わらず課題だ予習だと言って自主練をほとんどしていなかった自分が周囲の成長に追いつけるはずもなく、みんなに劣ることよりも自分が入ることで練習の質を落としていることが心を重くした。自分はKULにいるべきではないと毎日のように思っていた。こうした思いを抱えながら惰性で部に居続けた結果、勝っても負けても他人事のように思えた。ウィンターでミスを重ねて負けても何も感じず、その後の集合でFrコーチとの別れを実感して初めて悔しくなったのだから笑わせる。こんなやつがチームにいるのが申し訳なかった。
2回生になってBチームで活動するようになってからも何も変わらなかった。自分より上手い人が増えて自分がいなくても試合が回るようになった。Bリーグで活躍する同期LGたちを眩しい目で見ながら勝ち展開で出してもらう状況に甘んじていた。結局24Bチーム最後の試合は出場機会を得ることなく、新歓期からお世話になっていた級長さんの引退を外野から見守った。それなのに悔しさも悲しさも希薄なままの自分が情けなかった。
自分もチームの輪に入りたいと思った。そのためには自分がちゃんと戦力になり、勝ち負けを作る立場にならなければいけない。3回生としてBで活動するならばそれができるはずだ。 そんなことを思っていた矢先、股関節の痛みで練習を離脱した。 臼蓋形成不全に伴う股関節唇損傷。先天性の骨形成不全に起因する怪我だった。保存療法もうまくいかず、3回生の春に手術することになった。復帰まで半年以上。25シーズンは怪我人として活動することが決まった。
手術後のリハビリ期間は精神的にはそれほど苦しくはなかったように思う。もちろんラクロスができない辛さやチームメイトが成長していく中で自分だけが立ち止まっていることへの焦りは感じていた。けれどもそれらを仕方ないことだと割り切ってしまえば目の前のリハビリに専念することができた。理学療法士さんやりーひょんのサポートのもとで決められたメニューをこなすことで可動域や運動能力が回復していくのを実感し、最短での復帰を目指して前向きに活動できていた。また、リハビリ期間中もチームにとってプラスの存在でありたいと思い、それまで苦手だった練習中の声出しや下回生へのアドバイス、Bリーグ対戦相手のスカなどに取り組んだ。リハビリメニューを着実にこなす姿勢でも声出し等でもチームの空気を良くする一助になれていると思うと嬉しかったし、自身のやる気にもつながった。
対人も含め復帰が叶ったのは26シーズンから。Bで試合に出られるようになり、対人能力の著しい低下や体力不足に悩まされながらもプレー強度やFFなどで自らの存在価値を示せると感じていた。実際にBリーグ名大戦で2得点したときは戦力になれたことが嬉しくて、自分はこのチームにいてよかったんだと思うことができた。
チームにとっての自らの価値の自認はここまでだった。 程なくしてAの練習に入るようになったが、Aのレベルで通用するものなど何一つ持ち合わせていなかった。牛歩の如き成長を感じることはあれ、依然としてAのLGには数段劣る。Aの水準に追いつきたいともがきつつ、DF陣の中でずっと自分が穴であることが苦しかった。 主力のLG陣の相次ぐ怪我もあり出場できた開幕戦。短い出場時間の間中周りの指示で動き続け、それでもなおまともに動けず幾度となく危機を招く有様。自分がDFの負担になっていることを突きつけられた。勝ち試合でも残るのは無力感ばかりだった。
そして迎えた神戸戦。 自分の失策でチームを負けさせた。34期の仲間がずっと見据えてきた4回生のリーグ戦という舞台で。申し訳なさで誰とも顔を合わせられなかった。それまで自覚できていなかったチームに対して負う責任というものを最悪の形で痛感させられた。
試合に出るのが怖くなった。試合で成果を出して取り返そうという考えよりも再び自分のミスで失点するのを恐れる気持ちが勝った。こんなメンタルでベンチ入りを許されていいはずがない。試合に出られていない他のメンバーに申し訳が立たない。 それでも、26DFが強くあるためには自分が強くならなければならない。チームを牽引するDFにはなれずとも、皆が目指す舞台でLGの一員として戦力に数えられるレベルにならなければならない。試合で自らの価値を示せるようにならなければならない。自分は今そういう立ち位置にいると思う。 人の何倍もの成長スピードが求められる中で身体を保たせるために練習を抜けたり自主練を抑えたりしているのは情けない限りだが、それでも自分はもっと強くなれると感じている。試合も練習も、全てを成長に繋げて成果を出す。
まずは目の前の大経戦。これまで積み重ねた小さな成長を出し切る。恐怖を払拭するプレーをする。この試合も大きな糧にする。 今後のKULの勝利を支えられるように。 自分が26DFの一員であったと胸を張って言えるようになるために。 26KULにとって価値ある存在になるために。
最後にはなりますが、OBOG、保護者の皆様、スポンサーの皆様、平素より多大なるご支援ご声援を賜り、誠にありがとうございます。 また、試合会場に足を運んでいただき、私の怪我からの復帰を見守り応援していただいた保護者の皆様には個人として深く感謝申し上げます。
ここまで俺を引っ張ってきてくれた努力の塊みたいなPLのみんな、怪我からの復帰を支え様々なことを教えてくれるTRのみんな、練習の内外で当たり前を実現してくれるMGのみんな。KULの全ての人に最大限の感謝を。
あと少し、よろしくお願いします。
2026/9/25 #69 滝真拓

