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2026

26KUL Emotion #33 寺村初希

成長を実感できる。



スポーツの醍醐味は、ここにあると思う。



小中高と野球を続けてきた。もちろん好きだったけど、勝つことに執着した記憶はあまり覚えていない。高校夏の最後の大会で負けた時も、残っていた気持ちは野球をやる日常が終わることに対する喪失感だった。



いつからだろう、漢字テストで花丸をもらえなかっただけでも泣くくらい負けず嫌いだった自分が、ほどほどに諦めるようになったのは。

自分のなりたい理想を、持たなくなったのは。



野球を引退してから1年目の大学受験は失敗に終わったが、ありがたいことに浪人させてもらって大学に入学することができた。大学では新しいスポーツをしたいと思っていた自分にとって、ラクロス部は何か惹きつける魅力を放っていた。



入ってから23 Freshmanと24のBチームでは毎日少しずつでも成長した。練習中は弱音を吐きながらも無我夢中でやっている自分に驚きながら、前の自分のように強くなることに拘っている自分が好きになっていった。練習の成果が目に見えて出るのが楽しかったし、自分のやっていたことが正しかったと感じて嬉しかった。



25シーズンになった。それまでAチームの経験が0だった自分は、毎日練習に入れてもらえるようになり、必死に食らいついた。先輩から「上手くなってる!」と言われることに喜びを覚えたのも束の間、2月の試合で綻びが出た。



チームとしては関東の強豪校に対して2連勝という輝かしい成績。対して自分はどうか。クリアミスから1on1負けによる失点まで。明らかにチームの負け筋要因だった。チームの勝利を素直に喜べなかった。



必死に戦力となろうともがくも、春先には序列が落ちた。変に高いプライドで、忙しくなる大学の授業を言い訳にして、競争心までも落ちていった。



結局は2枚目LMFとして通年使ってもらった。あまりに背中が大きすぎて対面のOFが見えないくらいの4人のLGに支えられて、伸び伸びとプレーできた。試合での出番は多くはなかったものの、「なんとなく」の自信と勝利への拘りから体が勝手に動いた。このメンバーで日本一になって、学生日本一は夢なんかじゃないということが証明される。本気で信じていた。



負けた。全学一回戦、自分は広島にいって1on1に負けて何も貢献せずに終わった。自然と涙が止まらなかった。その涙の理由は「またか」という感情だった。23Frウィンターステージvs神戸学院、24Bリーグ準決勝vsKGB。あの時に散々味わった底知れない無力感を、また思い出してしまった。



そこには上手い人に頼り切って何もしていない自分がいるだけだった。何も変わっていなかった。



気付けば残された時間は1年になっていた。



26シーズンの初めに前年の年間目標を見返した。自分は「リーグ戦全試合出場」。24シーズンでAのベンチにさえ一度も入れていなかった自分にとっては、達成できそうな妥当なラインだった。24シーズンにAメンバーとして入っていた同期のLG3人は「リーグ戦スタメン出場」。目標を決めた時の自分は、その視座の低さに対する恥ずかしさは感じなかった。どこかで自分はこいつらには及ばないと決めつけていたのだと思う。



25の冬から26の春頃にかけては引っ張る側でありながらもチームに迷惑をかけた。実力を上げなければならないと思い悩んでいながら、怪我をして抜ける。休み休みではありながらも続けていた自主練投稿も、「やるのが当たり前のことになんの意味があるのか」と思うようになり、やめた。



今まで目を背けていたものが一気に背中に乗っかった。それまで挫折といえる経験をしたことがなかった自分にとって、本当にしんどい時期だった。



そんな中、自分を救ってくれたのは、もがきながらも成長し続けて試合で結果を出し続ける頼もしい仲間の背中と、そんな仲間からの「早く帰ってこいよ」という温かい言葉だった。2回生からAに入っている仲間、長い怪我期間を経験してもチームの力となり続ける仲間。そんなすごい奴らと比べたら自分の悩んでいることはとってもちっぽけだと気づいた。



怪我が長引く中でも帰りを待ってくれる仲間を裏切っていいわけがない。単純かもしれないけど、復帰してからの自分が楽しみで仕方なくなった。復帰してからは上手くなることに加えて、ラクロスができる楽しさ、仲間と一緒にプレーする喜びを感じるようになった。



ラクロス部を選んだ3年前の自分へ、選択は間違ってなかったと胸を張って言いたい。そう思えた。





俗に言う『いい選手』の特徴は、平均値が高いうえに何か一つ武器がある、ことだと思っている。自分は大して足も速くない、キレがあるわけでもパワーがあるわけでもない。



それでも自分には「自信」がある。こいつらとなら学生日本一になれるという「自信」が。4年間の経験から刻まれた確固たる「プライド」が。



自分は諦めない、勝った時の自分が好きで負けた時の自分が嫌いだから。



ボールダウンもたくさんするし、点だって取ってやる。ずっと理想だった自分を超える。超えた自分を見たいから。



リーグ戦終盤、今チームは崖っぷちにいる。



負けたら終わりの一発勝負



成長した自分をこれでもかと見せびらかせるまたとない機会



全部勝って証明してやろう



2026/10/02 #33 寺村初希


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