今でも忘れられない景色がある。
ちょうど1年前、ヤンマースタジアム長居。圧倒されるほど大きな観客席と煌々と光る照明。
まだ試合は終わっていないのに、交代を告げられたベンチで自分はラクロス人生のどん底にいた。
今思い返してみれば、1年前の自分はあまりに未熟で傲慢だった。
年始からチームはずっと負けっぱなしだったのに、自分はそこそこセーブしてるから悪くないと本気で思っていた。チームが勝てないのは点が取れないOFのせいだと思い込み、自分が上手くなる努力を全くもって怠っていた。
開幕戦前も、勝てないだろうけど頑張ろうくらいにしか思っていなかった。
そして迎えた開幕戦、自分のせいで負けた。
スタジアムの外に出ても涙が止まらない自分を、応援に来てくれたゴーリーの先輩方が慰めてくれた。
次の練習に行くのが本当に怖かったけど、そこにはいつもと変わらずチームメイトがいて、みんな少し暗かったけどひたむきにラクロスに取り組んでいた。自分の信頼は完全に地に落ちたと思っていたが、コーチさんは次の試合にも自分を出してくれた。KULというチームは、自分を見捨てないでいてくれた。
当たり前のことだけど、ラクロスはチームスポーツであり、自分ひとりの力で勝てるようなものではない。ましてゴーリーというポジションであれば尚更だ。チームの力があれば多少の実力差をひっくり返せるということは、Frのウィンターで実感したはずなのに、そのことをずっと省みもしなかった自分が情けなかった。
結局去年のリーグ戦は負けが込んで辛い毎日だったが、なんとか入れ替え戦に勝って今年も1部の舞台で戦うことができている。勝てない中でも共に頑張ってくれたチームメイトには本当に感謝している。
自分は本当に周りの人に恵まれている。
ラクロス部の一員として活動するのは、いい結果を残すためだけではなく、支えてくれる人たちへの恩返しのためでもある。練習や試合で嫌になりそうな時でも、お世話になった人の顔を思い浮かべるとこんな所でへこたれてはいけないと思える。
去年から成長した自分の姿を、お世話になった人たちに見てもらいたい。
そして迎えた今年の開幕戦。
このチームなら勝てると思って練習してきたが、負けた。でも自分のなかにあるのは悲壮感でも嫌悪感でもない。残りの試合を全部勝って、FINALでリベンジしたいという気持ちだ。
そのためにも、もう負けられない。こんなところでへこたれるわけにはいかない。
最後に、もう1つ忘れられない景色がある。
22関西決勝、勝利が決まった時の地響きのような大歓声。先輩方と一緒にベンチを飛び出して歓喜の輪に加わったあの時。
あの感動を、もう一度味わいたい。次は学生日本一を決める場で、自分が輪の中心となって。
その瞬間まで、走り続けるだけだ。
2024/8/9 #11 大木聡一郎