「強いチームに入りたい」
そう思ってラクロス部に入った。
小中高と野球をやっていた。そのいずれも、いわゆる“弱小チーム”で、「勝ったらすごい」「負けたら仕方ない」そんなチームだった。
高校時代は、強豪校とトーナメントで当たることもあった。でも負けるのは当たり前、そしていつもコールド負けだった。最後の試合もそうだった。そもそも勝てると思って試合をしてなかった。
スポーツは、勝敗がつく。勝った方が強いし、負けた方が弱い。そんな世界だ。
その中で、勝てると思って試合に挑めないこと、負けても仕方ないと思うこと、そう思ってしまう程度の努力しかしてこなかったこと。それが悔しかった。
そして大学生になった。部活をするつもりはあまりなかった。でも新歓の時に、どこかのサークルの先輩に「大学は人生で最後の自由な時間や」と言われた。
「最後」その言葉の意味を考えた。
そして部活をしよう、後悔しないようにしよう、そう思った。
そんな中で初めて部活の新歓に行った。それがラクロス部のモデルゲームだった。高校時代の先輩や、知り合いの先輩もいて、その人たちがラクロスについて熱く語ってくれた。
「俺たちは日本一をとる、絶対勝つ」
“かっこいい”
そう思った。その時はラクロスがどんなスポーツで、京大が強いのか弱いかもわからなかったけど、こんな先輩になりたいなと思った。そしてそんな先輩に憧れて、その日のうちに、入部しようと思った。
ラクロス部に入ってからは、いろいろな経験をさせてもらった。朝4時に起きて、昼まで練習して、夕方自主練して帰る。今思えば、よくやってたなと思うけど、その時は楽しくて無我夢中で練習していた。
そんな日々を過ごしながら、現実が厳しいことも知った。19KULは関西決勝で関学に負け、その関学も東北に負けて、その東北も早稲田に負けていた。厳しい世界、そんな甘くないと思ったことを覚えている。
20KULがスタートした。
つま恋で頑張ってなんとかAチームに入れてもらおう、そう思って練習にしていた。
でも、コロナウイルスが流行した。練習も無くなった。先行きが見えない中で、家でzoomトレーニングを続けていたが、ある日全学がないことが分かった。
「4年間目指し続けてきた目標が無くなるという事」
2回生の自分には想像もできなかった。自分だったら辞めてしまうのかな、そうとも思った。
でも次の日の朝もzoomで先輩はトレーニングしていた。自分たちに暗いところを見せずに明るく振る舞ってくれた。練習が始まると、いっぱい指導してくれた。先輩は筋トレも自主練もめちゃくちゃしていた。
そんな先輩たちがやっぱり
“かっこよかった”
月日は経ち、特別大会が終わり、20KULが終わった。
21KULが始まった。
今年こそはと、誰もが意気込んでいた。
年始の練習試合や、トップリーグなどを見ても、今年は「日本一」取れるそう思っていた。
全学の決勝で、スタメンで出て、活躍して、チームを勝たせよう。そんなイメージまでしていた。
でも、現実は甘くなかった。
日本一どころか、関西3位という結果で終わった。最終戦では1Qしか出れなかった。何もできなかった。点を決められたし、いいプレーもなく、明らかに実力が足りなかった。試合が終わって、悔し涙が出た。試合に負けた悔しさというより、何も出来なかった自分が悔しかった。
それまでの3年間、試合に負けた時でも、練習が上手くいかない時でも、どんな時でも不思議と
「自分達の代は“日本一”取れる」
“なんとなく”そう思っていた。
でも、この立命館に負けた時、初めて、来年も日本一取れないんじゃないか。全学にも行くことが出来ず終わるのではないか、そんなことが脳裏をよぎった。
思い返すと
「強いチームに入りたい」
そんな気持ちでラクロス部に入ったが、本当に“入っただけ”だった。練習は人並みにはしていた。自主練習も筋トレもそれなりにはしていた。しかし、チームに関わること、チーム運営などは、先輩や試合に出ている一部の同期に任せっきりだった。これまでの野球してた時と同じ、チームのことを考えること、責任感から逃げていた。
そしてそんな自分は憧れていた
“かっこいい”
先輩とは程遠かった。
変わろうと思った。
副将になった。
22KULが始まった。
「強いチームを“作る”」
そのことだけ考えて1年過ごしてきた。
いや、1年間 “しか” 過ごせなかった。
もっと下回生から意識しなければならなかった。
去年まで幹部としての経験がなく、今年も特別、何かをした訳でもない。自分が副将に相応しかったのかも分からない。
でもこの1年間、日々の練習から、チームのことを誰よりも考えて過ごしてきたつもりだ。
練習の雰囲気が悪い時も声出すし、ボールケアも積極的にした。筋トレも自主練も率先して行った。
幹部になり、気付かされることも多かった。
自分がこれまで、気づかないところで練習を運営してくれていたスタッフ。
毎日練習に来てくださるコーチさん。
いつも応援してくれるOBさん。
感謝してもしきれません。いつもありがとうございます。
そんな22KULは、年始の時とは比べられないほどに、成長していった。
4回生がチームを引っ張り
3回生がスタメンを争うようになり
2回生が試合で活躍する
そんなチームが誇らしかった。
もちろん順調ではなかった時もあった。
トップリーグでも、リーグ戦でも関学に負けた。
関東遠征でも勝てないことも多かった。
でも、
「今年の京大は、日本一取れる」
これまで“なんとなく”思っていたのとは違う。
今は自信を持って言える。
11/27まであと37日
日本一を取ろう。
日本一“強いチーム”になろう。
2022/10/21 #4 堀江晃平